■どうして枕が必要なのでしょうか?
重い頭をのせて直立歩行する人間は、バランスをとるために横からみると骨格が首から腰にかけてゆるやかなS字カーブを描いています。寝ている間もこのS字形の基点となる頸部を無理なく支えることが大切です。そのために、枕が必要となるのです。
■枕が合わないとどんな現象が起こるのでしょうか?
偏った枕では、頚椎が圧迫されることにより浅眠、肩こり、いびきなどの原因になります。また寝返りがしにくいため、寝ちがえや首痛を起こすこともあります。
高すぎる枕でも頚椎に負担がかかり、腰痛やいびきの原因になることがあります。疲れている時は、高い枕を気持ち良く感じることがありますが、これは首筋、背中の一時的なストレッチ効果によるもの。時間がたつと逆に筋肉の緊張でコリ、痛みを生ずることがあるので注意が必要です。
逆に枕を使用しなかったり、低すぎたりすると、浅眠、顔のむくみの原因となります。なお、肩こりは、一般に高い枕では、首筋から肩・背中にかけて痛みを感じ、低い枕では、首のうしろから後頭部がこることが多いようです。
■では、どんな枕が理想的なのでしょうか?
枕には、寝ているときに敷布団と頭部・頸部の間にできる隙間を埋めるという役割があります。つまり、「理想的な枕」とは、立っているときの自然な姿勢を寝ているときも保てるものといえます。自分に合った高さで、枕の中身にかたよりがなく、頚椎を支える構造であることが大切です。
■良い枕を選ぶための5つのポイントとは?
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自分に合う枕の高さを知りましょう。
枕選びの際にいちばん大切なのは、高さです。どんなに高価な枕でも本人の自然な体位をキープできるちょうどよい高さでなければ十分な睡眠を得ることができません。
理想的な枕の高さは、体型や頚椎弧の深さによって人それぞれですが、平均的な男性で4cm、女性で3cmと言われています。また、後頭部が頭の形なりに低くなっていて、しっくりと無理なく納まる感じが大切です。
横を向いて寝る方には、少し高めの枕がしっくりくるようです。
柔らかすぎる布団もからだが沈む分、高い枕と同じ現象を生む結果になるため、枕とあわせて敷布団やベッドの硬さも考慮することが必要です。
更に、年齢とともに首の深さ(水平に寝た時、床と首との間にできる空間)はだ
んだん大きくなり、枕が合わなくなる可能性があります。ある程度の期間で枕の高さをチェックすることも大切です。
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首筋をやさしく支える枕を選びましょう。
理想的な「自然な睡眠姿勢」を維持できることが枕には求められます。中身の偏りがない構造で、寝返りなどもにも対応できる枕を選びましょう。
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硬さや触感など、自分の好みを知りましょう。
一般に、柔らかすぎる枕は安定性に欠けるため眠りが浅く、皮膚の表面に接する面積が大きいので、放熱性がよくないとされます。一報、硬すぎる枕も体重が一点集中となり、そこからの刺激信号で目覚めやすくなると言われます。
硬さや肌ざわりは、ひとそれぞれ好みがあります。これらが枕が合わない原因になることもあるため、基本的には自分が気に入った素材のものを選ぶことをお薦めします。
素材では、羽根・ポリエステル綿・パンヤなどは柔らかめ、パイプ・ビーズ・ウレタン・ソバなどは硬めとされていましたが、同じ素材でも製法の違いや充填量によっても硬さや触感は異なります。製品説明の表示をじっくり読んで、その枕の特徴を知ることが大切です。
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熱や湿気で頭がむれないことも大切です。
頭には熱や湿気がこもっては熟睡できません。発汗を自然に吸収して発散する、通気性・吸排湿清の良い枕であることも大切です。
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アレルギーがある方は、特に清潔性にもこだわりましょう。
中身の素材では、ソバガラや羽毛などの天然素材のものは一般にダニがつきやすいとされます。アトピー症などのアレルギーの方は、ダニの死骸や糞がアレルギーを引き起こす原因となるため、いつまでも清潔さを保てるよう、素材自体も丸洗いできるものをお薦めします。
一般にポリエチレンなどダニの付着しない化学系の素材が安心ですが、天然素材でも、ヒノキのようにダニ、カビを寄せつけないものもあります。
■枕を快適に使いつづけるためのお手入れに仕方とは?
枕を清潔で快適使うためには、まずは枕カバーをまめに洗濯しましょう。フケや皮脂をつけたたままにしておくとダニなどが寄ってきますが、ほとんどのダニは洗濯で洗い流せます。
また、枕もときどき日光浴をさせましょう。湿気を発散させる上、殺菌効果もあります。 |